「2歳からサッカーをさせたら早いのではないか…」と悩んでいる方は少なくありません。中にはあまり早くからサッカーをやらせることに反対意見をお持ちの方もいます。ひょっとしたらご夫婦の中でも意見が分かれているご家庭もあるかもしれません。
今回はわが家で実際に実践している2才のサッカー練習方法を具体的にご紹介します。
2歳からサッカーの練習はできる!
『和製メッシ』と名高い久保選手の活躍など、2歳からサッカーを始めて一流選手になっている方もいますし、2歳児のサッカー練習法が気になりますよね。
わが家には2歳児がいますが、中学生の兄と小学生の姉もサッカーをし、父はボランティアコーチをしているサッカー一家です。(母は今は専属シェフ&トレーナー&コンディショニングコーチってところです)
兄は6歳から、姉は4歳になったばかりの頃からサッカーをしていますが、技術はともかくボールタッチの柔らかさは姉の方が断然上です。そして、ボールを見ずにボールコントロールをすることを覚えたのも姉の方が早かったんですね。
これは、姉の方が運動神経が良かったということではなく(実際、運動音痴でした)、単純に早くからボールを触っていたことにあると思っています。
ご存知かと思いますが、サッカーの基礎技術は止める・蹴る・運ぶです。
この3つの作業をいかにボールを見ずに、自分の思うままに行えるかが、上達への肝になります。
いくら高度な技術を持つ指導者に”サッカー”を教わっても、止める・蹴る・運ぶがうまく出来ないと高い技術も自分のものにすることはできません。
幼児の時期に教えておきたいのは、サッカーの基礎技術です。そして、2歳はサッカーボールを蹴ることに慣れること、サッカーは楽しいということを覚えさたい時期。決して無理矢理サッカーを教えようとはせず、「サッカーは楽しいことだ!」と思わせて、ボールが落ちてたらとりあえず蹴りたい衝動になることを目標とします。
そして、それと同時に運動神経が伸びている2歳児だからこそ、様々な体の動きを経験させて身体能力を上げていくことが大切です。
わが家で実践している2歳児のサッカー練習方法をご紹介します。
2歳児のサッカーは家の中でできることを中心に
2歳児のサッカーの練習をさせようと思ったら、「サッカーは外でやるもの!」という概念を捨て去った方がうまくいきます。もちろん晴れた日に広い公園でおもいっきりボールを蹴るのもいいですが、2歳くらいだと家の中でも十分に練習ができます。雨の日も真夏の猛暑日も冬の寒い日も365日サッカー三昧です。
2歳児はボールに触れた時間が長ければ長いほどサッカーが上達します。まずはボールに触れやすい室内遊びにサッカーを取り入れるのがおすすめです。
2歳のサッカー練習【ボールを蹴る編】
ステップ0: 部屋の中にボールを転がしておく
部屋の中に大小様々なボールを転がしておきます。足が痛いと嫌がる子もいるので、柔らかいボールを用意しておくがポイントです。わが家では直径6cmくらいのゴムボール、8cmの柔らかいボール、15cmくらいのゴムボール、3号サッカーボール、4号サッカーボール、5号サッカーボール、バランスボール、クッションボールを用意して転がしています。
投げてもよし、蹴ってもよし、ボールの上に乗って遊んでもよし!
とにかく生活の中でボールに触れる回数を増やすために、掃除の時以外はリビングには常にボールが転がっている状態にしています。久保選手のご家庭を習って、リビングからはソファもテレビも撤去しました。(撤去したソファとテレビは隣の和室でひっそりと息を潜めています。)
ステップ1 :ボールが蹴れたら褒める
お子さんの足元にボールを置いて、「キック〜」と言って自由に蹴らせてみます。もしあまり興味を示さなければ、手を繋いでお家の方がボールを蹴って楽しそうにテンションをあげてみてください。楽しそうなことは子供もやりたがります。頑張ってこれでもかという程テンションをあげてみてください。お家の方の演技力が試されます。笑
ボールを強く蹴る練習をする時は、柔らかめのボールの方が痛くないので子供が積極的にボールを触ってくれやすいです。
ステップ2:ペットボトルを倒してみる
ボールを蹴ってペットボトルボーリングをしてみましょう。ペットボトルの代わりに牛乳パックでも。
ペットボトルが倒れたら大げさに喜んでほめます。ペットボトルが倒れなくても、ボールを蹴れたら「すごーい!上手にキックできたね!ナイスチャレンジ!次はペットボトル倒れるね!」とボールを蹴れたことを褒めます。
ステップ3:マーカー落とし
コーンがあれば、コーンの上にマーカーを逆に置きます。コーンにボールをぶつけてマーカーが落ちたら成功です。大きなコーンがない場合、ミニコーンでもこの練習はできます。
コーンやマーカーはこの先も練習で使えるので、あってもいいアイテムです。(サッカーの練習時以外は邪魔アイテムですが…)
2歳のサッカー練習【運ぶ(ドリブル編)】
ステップ1:手を繋いでドリブルごっこ
ドリブルしながら動くことに抵抗を示しているお子さんの場合は、まずは手を繋ぎながらドリブルしてみるのがおすすめです。最初はボールを大きく蹴りだしてしまうと思いますので、「ちっちゃくキックだよ」と教えました。ドリブルで移動中も「ちっちゃい、ちっちゃい」と声をかけながらドリブルさせます。
ステップ2:直線ドリブル
お子さんとお家の方が向き合って、「よーいドン」でお家の方の所までドリブルして来てもらいます。最初は距離を短くして、慣れてきたら少しずつ距離を広げていきます。
スタートとゴールにお子さんの好きなオモチャを置いて目印にしても面白いです。うちではもっぱらスタートにプラレールの”かがやき”、ゴールに大好きな”こまち”を置いています。「こまちの所まで、ちっちゃいちっちゃいして来て〜」と遊んでいます。
お子さんが自分で数が数えられるようになったら、「ここまで10回ボールに触ってくるよ〜」と声をかけてたボールに触る幅を変えていきます。(うちの2才児はまだこれはできません。徐々にね…)
ステップ3:ドリブルおにごっこ
子供とドリブルをしながら鬼ごっこをします。逃げる人がボールを蹴りながら逃げます。
まずは、ボールなしで鬼ごっこをして、次にお家の方がボールをドリブルしながら逃げます。次にお子さんにボールを蹴りながら逃げてもらう順番でチャレンジするとうまくいきやすいです。
うまくいかなくてもOK。動きながらボールを蹴ろうとする姿が見られたら褒めてあげてください。
2歳のサッカー練習【止める編】
ステップ1:ボール止めてから蹴ることにチャレンジ
向かい合ってボールを転がし、「足で止めて〜」と声をかけながら止めることを覚えてもらいます。最初は転がしたボールを手で掴もうとすることが多いと思いますが、それはそれでOKです。「上手にキャッチできたね!次は足で止めて見ようか!」とお子さんの行動を肯定しつつ、次のチャレンジを教えていきましょう。
ステップ2:壁あて
転がしたボールを止めてから蹴ることができるようになったら、壁にボールを蹴って跳ね返ったボールを止める練習をします。壁当てができる場所がない場合は、わが家ではペットボトルが入ったダンボールでボール当てをしています。
ステップ3:手を繋いでボールタッチ
小さめのボールの上に片足ずつ足を乗せます。踏み台運動をボールを行うイメージです。2歳のお子さんはまだ片足立ちも上手でないのが普通です。この動きはまだ一人では難しいので、手を繋いで「いち、に、いち、に」とゆっくりボールタッチにチャレンジしてみてください。
まだまだこの3つの技術の連動は難しいですが、1つずつの動きを楽しみながら遊びの中にサッカーの基礎技術を取り入れています。
色々な体の使い方を覚えて運動能力アップ
手押し車
小学校の運動でお馴染みの手押し車。実はこの運動は腰が座った赤ちゃん時期(8ヶ月くらい)から行うことができる運動です。手押し車は腕の筋力と体感を自然な形で鍛えることができます。
2歳児はまだまだ腕の筋肉がなく体重を腕だけで支えることが難しいもの。なれるまでは無理せずにお腹やお尻を支えてあげながら動きに慣れさせるようにします。赤ちゃんに手押し車をしてあげるときには、必ずお尻から持ち上げてください。
ボールを足で持ち上げる運動
ボールを両足で挟んで持ち上げる運動は体感と腹筋を鍛えることができます。
両手は後ろに着いてOKなので、難しいことは考えずにお子さんがやりやすいやり方でチャレンジさせてあげてください。
平均台運動
平均台運動はバランス感覚と体を安定させるための体感を鍛えることができます。
公園の丸太などの上を手を繋いで歩かせるだけでOK。慣れたきたら徐々に手は添えているだけにしていきます。子供は手を繋いでいふだけて安心してチャレンジしてくれますので、無理に1人でやらせるのではなくお家の方が一緒に付いていてあげるのがいいと思います。
鉄棒にぶら下がる運動
鉄棒にぶら下がる運動も腕の力と腹筋を鍛えることができます。まずはお家の方がやっている姿を見せてあげるとマネしてやりたがります。公園にいた時には鉄棒ぶら下がりにチャレンジです。
足じゃんけん
足でグー、チョキ、パーを作ってジャンケンをします。足の踏ん張る力、そして土台をしっかりさせるのに役立ちます。
最初はできなくてOKです。足の指を動かすことができることをお子さんに理解してもらいましょう。
お家の方が朝の指を軽く開いてあげるのも効果的です。
2歳児だけでなく、小学生・中学生・高校生も日課にしたい運動です。わが家では毎夜、子供3人で足ジャンケン大会が開催されています。足指が開いてくると小指に体重をかけてもしっかり踏ん張れるので、踏ん張っている足と逆足の股関節の可動域も広がります。
足の指の付け根の骨から曲がるように、ちょっとだけ手伝ってあげると更にgood。痛がるようなら無理はせず、優しく触れるくらいで大丈夫です。
柔軟運動
2歳くらいだとまだまだ身体が柔らかいのですが、放っておくと3歳くらいから徐々に身体は硬くなってしまいます。
2歳の柔らかさを維持するためにも柔軟運動を毎日します。ポイントは毎日やることです。短時間でいいので毎日柔軟運動をすることを習慣にしたいものです。継続は力なりですね。
お子さんが嫌がるほど強く押す必要はなく、痛がらずに無理なくできる範囲でおこないましょう。
2歳のうちに逆足を使うことを覚えさせたい
サッカーにおいて両足を利き足のように使えるのは大切なことです。利き足に頼るとプレーの幅が狭まってしまいます。大きくなってから逆足を利き足のように使えるようにするためには、相当の努力が必要です。
2歳のうちならそれ程苦にならずに逆足で蹴ることを覚えることができます。利き足、逆足に関わらずボールが来た方向と逆の足でボールをトラップすることを覚えさせたいからこそ、2歳の今から声がけしています。
2歳ちゃんは素直なので、「こっちの足で止めてごらん☆」と言えば「こんなかんじ?」と言いながらすぐに実行してくれます。(小学生はグダグタ言いながらやります…)
子供がやろうとしてくれたら、できたできないに関わらず全力で褒めてくださいね!できない時には、「じょうずー!次はここをこうしたら、もっとカッコいいね!」と子供を褒めつつ間違いを指摘するのがポイントです。
何度も言いますが、子供にサッカーを好きになってもらえなくては意味がありませんので、強く叱って「サッカーすると怒られるからやりたくない…」という思考をつくらないように細心の注意を払っています。
サッカーと絵本に誘われたら忙しくても中断して誘いに乗る
私は子供のサッカーと絵本のお誘いは絶対に断らないと決めています。それがどんなに忙しい時でも、例え1分くらいの時間しか取れなくても絶対にサッカーと絵本のお誘いは断りません。
というのも、サッカーと絵本を好きになってもらいたいから!サッカーと絵本なら断られないことを子供は理解しています。どうしても一緒に遊んで欲しいときは、この2つの中から選んで声をかけてきているようです。
もちろん時間がある時には他の遊びも一緒にしますが(うちの子はプラレールが大好きで中でもE6系こまちにメロメロです)、忙しくてかまってもらえないオーラを感じたら「サッカーしよっ!」と誘いにきます。
ご家庭によって生活スタイルは違うので、決してこの方法だけが正しいわけではありませんが、生活の中でお子さんが自分からサッカーをしたいと言い出すように工夫してみるのも楽しいと思います。
自己肯定感、チャレンジ精神の高い人間に育てたい
アスリートにはチャレンジ精神が必須です。現状に満足せず貪欲に上手くなることを追求し、長いあいだ努力が続けられる人間にする必要があります。
褒めて育てれば自己肯定感が上がり、チャレンジ精神の高い子になると言われていますが、ただ褒めるだけでは効果はいまひとつです。
結果そのものよりも、過程や姿勢を褒めることことが大切です。頑張っても結果がついてくることの方が稀ですし、結果ばかり褒めると上手くいかなくなった時に道を見失いやすいです。
サッカーの練習で言えば、上手にできなくても自ら練習しようとする姿勢や、うまくできた時はその努力があったからうまく出来たことを褒めます。
その子をまるごと受け止めて、できた事を一緒に喜ぶイメージです。そして、チャレンジすることを一緒に楽しんでいくことで、自己肯定感とチャレンジ精神がどんどん育っていきます。
2歳だとサッカーの練習中に違うことに気持ちが移ってしまうことはよくあります。
うちの子の場合、公園でサッカーをしているとボールを蹴りながらドングリを見つけて、サッカーのことは頭から無くなり”どんぐり”拾いに夢中になったり…。
そんなときは、子供の気持ちを受け止めて「どんぐりがいっぱい落ちてるね!」と一旦サッカーは中断して一緒にドングリを拾います。そして少ししたら、「さあ、サッカーしようか!」とサッカーの練習に戻るようにしています。
子供は親に自分の気持ちを受け止めてもらって満足するので、切り替えがうまくいきやすいですし、こちらの言葉も通りやすくなります。もしそのままドングリ拾いに没頭してしまったら、今日の練習はそこまで。
2歳児のサッカーは、子供の気持ちを優先しながら一緒にサッカーをして楽しむのがいいですね!大好きなパパやママと一緒に楽しんだ思い出のあるサッカーを、お子さんは益々好きになるはずです。
2歳児のサッカーは親の努力が必要…
2歳児のサッカーの練習は、練習内容よりもボールを触わる時間を増やすことが大切です。ボールに触る時間が増えれば、必然的にボールタッチが上手になります。
これをやろうと思うと、普段お子さんに接する時間が長い方の努力が欠かせません。
保育園やプレ幼稚園に行っている時間を除くとなかなかハードですが、家にいる時にはボールを蹴るように仕向けたいので、大人側の誘導が欠かせません。
キャプテン翼の翼くんのように「ボールは友達!いつもボールと一緒!」と自らサッカーをしてくれる少年少女にするためには、多くの場合最初は大人の見えない誘導が不可欠だと思います。
子供を医者にする親や東大に入れる親の多くも、幼児期から子供を巧みに誘導しています。親の気持ちでサッカーをやらせようとする以上、それと同じように上手く子供にサッカーを好きになってもらい、サッカー選手になりたいと思わせる小技をつかっていくことが欠かせません。
まとめ
つらつらと色々書きましたが、2歳のサッカー練習のポイントは2点だけです。
- 一緒になってボールを蹴ってサッカー好きになつまてもらうように仕向けよう!
- サッカーだけでなくて、様々な遊びにチャレンジして体の動かし方を知るきっかけをつくりましょう
これだけです。実にシンプル。この長々とした文章はなんだったのでしょうね…苦笑
家の中でサッカーをするなんてお行儀の悪い…と思われる方もいるかもしれませんが、そこは割り切っています。
きっとうちの2歳児がプロサッカー選手にでもなれた日には、否定していた方の中にも「やっぱりそれくらいやらないとプロになれないんだね!」と認めてくれる人が出現するはずです。そんなもんだと思っています。だから、今できることをやってみます。
子供のサッカーのサポートは、まだまだなが〜いです。
お子さんもお家の方も途中で息切れしてはいけませんので、パパやママも肩の力を抜いて楽しくサッカーをする姿を見てたくさん見せてあげてください。毎日一緒にボールを蹴ってると、こちらもボールタッチの質が上がってくるというおまけ付きです(^^)